テクニカルアドバイス

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温度管理について

まず、はじめに・・・

車の中で、温度といえばいろいろあります。

室内、タイヤ、ブレーキ、水温、油温、排気温…。
その中でも走行時に、オーナー自身が管理できる温度についての説明をしたいと思います。

水温は、エンジンの冷却水の温度を指していて、純正メーターもついています。一般的にはエンジンから出てラジエターへ向かうところの温度が表示されています。走りはじめは温度が上がらないはずで、サーモスタットが一定温度に達してから純正メーターの針が動いていると思います。油温は、通常エンジンオイルの温度のことを言っています。一部の車種には純正メーターが付いていて表示されている場合がありますが、ほとんどの車両は後付になります。

この二つの温度の適正値は、水温85℃ 油温85℃+15℃と言われています。
実際にシャシダイナモやサーキット走行などのデーターがとれる環境でテストを行うとエンジンの出力はもっとも高い数値を示します。

一部エンジンルーム内の温度や、オイルの粘度特性などにより違いはあるかと思いますが、自分の車両で試してみても体感できるはずです。実際には水温85℃とはいかない場合が多いため、理想温度として、水温85〜95℃を目安に考えればいいでしょう。

ラジエターのエア抜きの意味

水温を考えたとき、温度を下げるためにはいろいろな方法があります。ラジエターの容量アップ、高性能の冷却水との交換、ローテンプサーモへの交換…などです。ですが、基本となるのは、ラジエターを含む冷却水の中の空気のを完全に抜き、冷却水が循環する中に気泡が混ざらなくすることです。冷却水の交換の段階で、ある程度のエアーは抜くことができますが、交換後1週間くらいの間は100%と思っていても、コップ1杯くらいのエアーがたまっているものです。これは、エンジン内部に残った小さな気泡が、循環しながら少しづつ流されてくるもので交換後1週間の走行前点検でほとんど解消します。その後は、ラジエターキャップが正常に機能し、サブタンクに適量の冷却水が入っていれば、純正の機構で自然にエアーは抜けてしまいます。

油圧と水圧の違い。

油圧は、通常2〜8kgf/cmくらいですが、あまり聞き慣れない水圧は、1〜1.3kgf/cm位です。この違いから、配管方法、ポンプの形状、オイルと冷却水の粘度差などがあるわけです。オイルの場合は、流れる圧力が高いため、オイルクーラーのレイアウトもエアーを気にすることなくある程度自由に設定でき、エアー抜き作業も特別行わないのが実情です。ラジエターの場合は、上から下、または左右に流れるようレイアウトされ、高回転時のキャピテーションがよく問題にされます。

オイルの選び方の目安。

油温や油圧が気になりだしても、すぐにはどうにもできません。まず、簡単にできることから始めてみましょう。たとえば、直列6気筒ターボエンジンの場合、ノーマルでしたら5〜7,000/4L、ブーストアップでしたら8〜9,000/4L、タービン交換車でしたら、9〜15,000、直列4気筒NAエンジンの場合、ノーマルでしたら3〜4,000/4L、高回転チューニングエンジンでしたら、6,000〜と言う感じです。(銘柄等により異なります。これ以上のものをおすすめしています)

BORDERでは、いろいろなクーリングパーツを販売しています。

ラジエター単体で冷却効果を高めるには、走行風をいかにたくさん受けることができるか、通過させることができるかが課題となります。実際の市販車の場合には、面積を大きくすることはできないため、エアロパーツを開発したり、サイドラジエターと言う追加ラジエターを製品化したりしています。

※1サーモスタット
エンジンとラジエターのアッパーホースの間にあり、温度によって開閉する弁です。
※2ローテンプサーモ
純正に比べ、低温時に開閉を行うことができます。価格も安価で水温を下げることができます。
※3キャピテーション
冷却水の循環を行うとき、ウォーターポンプがエンジンの回転を利用し冷却水をエンジン内部より送り出しています。このときエンジンが、高回転になると、冷却水をウォーターポンプが攪拌し気泡を発生させてしまいます。この気泡のことを、キャピテーションといい、冷却効果を低下させてしまいます。

RomTuningについて

まず、はじめに・・・

  • 今装着している純正CPUを書き換えします。(一般的にはこれをノーマル下取りといっています)
  • ブーストアップでしたら、待ち時間でもCPU交換はできます(一部の車輌を除きます)
  • スピードリミッターのみの解除のCPUも販売しています。
  • 純正CPUには、ブースト、スピード、回転の3つのリミッターが入っています。これは、自動車メーカー、車種によって様々な設定になっていますので、私たちは一つ一つ解析しています。
  • ブースト圧を変更し、パワーアップを行う事を一般的にブーストアップと呼んでいます。エアークリーナーや、プラグなどを交換するだけで、純正タービンの許容範囲でのチューニングを行います。ただし、パワーが上がることにはかわりありませんので、オイルの粘土などに少し気を使う必要は出てきます。

シャフトダイナモとセッティング

一般的には、シャシダイナモでセッティングを行っていると思われていますが、シャシダイナモは、高負荷時の燃料噴射時の燃料噴射量の調整や、セッティングベースデーターを作るのに使用する場合がほとんどです。雑誌などでみているセッティングシーンも、微調整の領域だったりすることがほとんどです。シャシダイナモでは、アクセルワークは不可能なので、中低速の体感する吹け上がりなどをセッティングすることはできません。

セッティングのコンセプト

  • アクセルレスポンスに重点を置いています。
  • 他社とは異なり燃料の圧力を高く設定し、霧化と燃焼効率を追求しています。(レギュレーター交換車)
  • 卓上での仮想データーを取り付けるのではなく、車輌に機材を搭載し実走行しています。
  • セッティングにはパーフェクトはなく、 仕様、気候、状態などを考慮して、壊れない領域の中で公約数的にセットしていきます。
  • 内容を伝え理解してもらえる領域も、セッティングの基本に入っています。

NAはどうなる?

NAの場合も、CPUのチューニングは行えます。ただ、ターボとは違い、吸入空気量は自然に吸い込む量しかありませんので、排気量アップや、ビッグスロットルなどのチューニングを行わない限り、大きなパワーアップは出来ません。ここでセッティングが生きてくるわけで、ターボ車も同様にフィーリングが速さや使いやすさに影響しています。アクセルレスポンスや、シフトダウン時のエンジンの反応など、セッティングによって大きく変化します。

フルコンとサブコン

最近よく聞くようになってきた言葉です。フルコンとはパワーFCなどのように純正CPUと完全に交換してしまうものを指しています。HKSのF-ConVもフルコンですが、例外でアイドル制御部分を純正CPUを使用して制御しているため、純正CPUは外さず取付しています。フルコンの場合は、純正CPUのデーターは使用しないため、独自の容量の多いCPUとなっています。これにより純正CPUでは、各マップのスケールを変更してハイパワー車に対応していましたが、はじめから大きなマップを持っているためセッティングが容易に行えます。ただし、純正CPUでも2倍位の出力までは十分に対応する容量は有るため、絶対的にフルコンにした方がいいとは限りません。

※霧化
燃料をエンジン内に噴射したときに、ガソリンが霧状になることを指しています。
※レギュレーター
燃料の圧力を調整するバルブ。純正でも必ずついていますが、チューニングパーツでは、燃料の圧力を調整し、霧化を良くするために、調整式のレギュレーターに交換している場合があります。
※仮想データー
卓上の解析ソフトで、CPUのデーターを作り、装着するもの。実走行での確認がとれていないため、危険な場合もあり得る。

クラッチ交換について

まず、はじめに・・・

一言でクラッチといっても、純正も有ればツインプレート(※1)やトリプルプレートまでメーカー、仕様も含めると何度も買っていい物を探すなどというレベルではたどり着けない種類が販売されています。2〜3年前までは「友人から聞いた」「雑誌に載っていた」などでも選んで付けることが可能だったと思います。

最近のクラッチは各メーカーとも今までのメタルクラッチに加え、それぞれカーボン製のディスクを採用した物を追加して販売しています。これで単純に二倍のアイテム数になり、スーパーシングルという今までツインプレートだった物を1枚のディスクにして価格を抑えた物も販売されていますから、少し前のアイテム数からしたら、5〜10倍位は世の中にでていることになります。

もう一つ、クラッチにはペダルストロークと、遊びの調整が必要になります。余り知られていないことですが、この調整で操作性と耐久性の向上を測っています。今はほとんどの車が油圧式でクラッチペダルからクラッチまでの伝達を行っています。

この油圧式経路の作動不良も操作性と耐久性に大きく関わっているのですが、ユーザー自身は、日々劣化していくクラッチや油圧経路に慣れてしまいがちで、いつの間にかクラッチ本体の摩耗限度につながっていたりします。

いろいろな要素をふまえて、クラッチ選びはよく相談し、交換後のメンテナンスを理解して、いい状態を維持しなければいけません。

クラッチの基礎構造

クラッチの構成は

  1. クラッチカバー
  2. プレッシャープレート(純正以外のみ)
  3. クラッチディスク
  4. センタープレート(純正以外、ツイン以上)
  5. レリーズベアリング
  6. フライホイール

から組み合わされています。純正ですとすべてのパーツが車種専用で、汎用的な要素を持っていないのが現状です。みなさんがチューニングパーツとして購入している物は、(1)〜(4)のパーツは汎用品を製作し、車種別にの(6)フライホイールを製作して車種別商品にしています。(5)のベアリングも純正ですが、日産車の物を流用できるようにしている場合が多く(径が小さいため踏力を軽くできる)汎用的に考えられています。

ただ、メーカーによっては、(1)と(3)のパーツには仕様に合わせて選べる様に互換性を持たせた強化タイプも設定されている場合があります。

油圧経路

油圧経路は、クラッチから先に クラッチマスターシリンダー(※5)→クラッチライン(※6)→クラッチレリーズシリンダー(※7) という構成になっています。使用されている作動油は、一般的なブレーキオイルです。 純正クラッチは、作動方式でブッシュ式(※3)、ブル式(※4)と分かれていますが、油圧経路の構造は同じです。

BORDERでのクラッチ交換はペダル調整などを含めトータル的に行います

ここが違う!! その1

油圧経路の劣化なども、調整作業を通して、速く発見出来ますし、操作性についての追求を常に行っています。交換後200kmを慣らし運転と薦めていますが、200km前後のペダルストローク調整は、取付作業の延長と考えていますので無料です。この調整作業時に、調整が必要な場合は、調整作業の重要性がおわかりいただける場合があります。

BORDERではクラッチ交換後、慣らし運転をお願いしています。

ここが違う!! その2

簡単なマニュアルをお渡ししていますので、ペダルの遊び、日頃のメンテナンスなどについて、最低知っておいた方がいい事を慣らし運転の間を通してお伝えしています。

※1.ツインプレート
(3)のディスクの数が2枚の物をツインプレート、3枚の物をトリプルプレートと呼んでいます。
※2.作動変更パーツ
純正クラッチがブル式の場合、このパーツを取り付けしブッシュ式に変更して取り付けします。
※3.ブッシュ式
ペダルを踏んで発生した油圧が、クラッチカバーを押す方向でクラッチが切れる構造の物。
※4.ブル式
ペダルを踏んで発生した油圧が、クラッチカバーを引っ張る方向でクラッチが切れる構造の物。
※5.クラッチマスターシリンダー
純正品です。エンジンルームのブレーキマスターシリンダーの横にあり、ブレーキに比べるとシリンダーストロークが多いため、オイルが汚れている場合が多いです。
※6.クラッチライン
純正品はゴムホースで出来ています。あまりクラッチカバーの強力な物を装着すると、ゴムホース部がさけることがあります。一般的にはステンメッシュの強化品が販売されています。
※7.レリーズシリンダー
ミッションに取付されていて、レバーを介してクラッチを作動させています。

ブッシュ交換について

ブッシュって…

ブッシュと言っても聞き慣れない言葉ですよね。サスペンションという大きなくくりの中で、ショックアブソーバーやサスペンションアームのジョイント部に付いているものです。
ジョイント部ですからもちろん動くわけで、あまり知られていないことですが、純正はほとんどがゴムで出来ています。ブッシュは、回転方向の動きを行ったり、ショックにかかる重量を受け止めたりしています。ショックやスプリングの動きを助け、シャキッとした操縦性を受け持っているパーツなのです。
10万km走っても、自分で見ることのないパーツでもありますし、徐々に劣化していくために、変化がわかりにくいものでもあります。
純正以外に交換するモノと言えば、強化ブッシュかピロボールブッシュになります。仕様用途、機能に合わせて選んでいけば、リフレッシュも兼ねたステップアップにつながります。

ゴムブッシュとピロブッシュの違い

ゴムブッシュとピロブッシュの違い

ゴムブッシュは軸方向に重量がかかるような場合、ゴム部がつぶれ、センターがずれてしまいます。ピロブッシュは、ピロボールセンターを中心に稼働するた め、センターのズレは起こりません。ショックアブソーバー下部にブッシュがある場合は、このゴムのつぶれによって、車高へも影響していきます。

ゴムブッシュとピロブッシュの違い

アームなどに付いている場合で、ブッシュが回転方向にねじれる場合、ブッシュの作用角はゴムのねじれを伴っているため、約30°となっています。これに対し、ピロブッシュは360°制約が無く自由に動きます。

※1.強化ブッシュ…
ニスモ、TRDなどから販売されています純正交換タイプのゴムブッシュです。純正に対し20〜50%程度のゴム高度を上げ、ゴムブッシュ特有のよれの軽減をねらって交換します。レースカーなどでは、出場するレースによっては、ブッシュの材質変更が認められていませんので、このような強化ゴムブッシュが販売されています。ニスモリンクキットなどは、アームを純正と交換できるよう強化ブッシュを圧入している商品なども売られています。
※2.ピロブッシュ…
ゴムブッシュに対し、ピロボールジョイントを使って純正と同形状に製作したピロブッシュのことです。ゴムブッシュに比べ、ブッシュセンターのズレも発生しません。回転方向の動きも自由ですので、サスペンションの動きに制約が入ることがありません。基本的には純正交換ですので、サスペンションのレイアウトが変わることはありません。
乗り心地が悪くなる印象がありますが、逆にサスペンション本体の動きがよくなるため、乗り心地はよくなった印象を受けます。それでいて、ステアリングレスポンスも大きく向上します。

アライメントについて

まず、はじめに…

ご存知ですか? 足元決まれば、走りも変わる!

サスペンション(足廻りともいいます)の話によくでてくるアライメント、正式にはホイールアライメントといって、簡単にいうと四輪のタイヤの向きのことです。タイヤって進行方向に向かって真っすぐだと思っている人もいるかもしれませんが、少しずつ角度がついているんです。それらの調整を行うことを”アライメントをとる”と言っています。

また、このアライメントというのは走る性能(サスペンションの特性)をどう生かすかにかかってきます。車のサスペンションは、バネの硬さ・ショックの伸び縮みの強さ・車高(前後の重量配分)・アライメントなどの要素で構成されていて、走るにはもう一つタイヤも忘れてはいけません。

この”アライメントをとる”ということは、性能をトータルで見るということになるわけです。ですから、サスKITの選び方やその後のトータルでのサスペンションのセットアップに関して、よく考えてみた方がいいと思います。サスKITの取付けや、一般的にアライメントといっても基準値に合わせているだけの場合が多く、タイヤ・その使用ステージなどに合わせた”味付け”的な部分は殆どないのが現状です。

一般的な車高とアライメント変化の関係

通常、車高を下げるとアライメントはキャンバー(※1)がネガティブ方向へ、トーイン(※2)がアウト方向になっていきます。本来車輌は設計されている時点で、コーナーリング中に車輌が傾き、アライメント変化を起こすことを計算されて設計されています。

ここで一つ、トーインは極端なアウト方向への変化が起こるとサスペンションのメカニカルグリップが下がる方向にあります。ですが、コーナーリング中にはステアリングを切っている状態であることも忘れてはいけません。

サスペンションを交換すると、ほとんどは30〜40mm車高が下がります。この状態を純正車高から考えれば、かなりロールしたような状況ですので車輌が止まっている状態であってもアライメントがくるった状態ということになります。

BORDERでは、メカニックの手で安定した作業を行います。

BORDERには、大きなアライメントテスターはありません。以前から使用しているフォーミュラカーなどに使用していた計測器と、床面を加工したアライメント用の平らな面でアライメントをとっています。これは、一般の車(ラジアルタイヤ装着車と、サスペンションアーム類にゴムブッシュを使っている車)では、車を前進で止めるのと後退で止めるのではアライメントが違うからです。いつも同じ条件をメカニックの手で作り出し安定した作業を行ないます。タイヤのヨレやブッシュ(※3)のネジレなどが、進行方向で逆に力を受ける為です。

BORDERの車高調整は、下廻りのアーム取付け部分と床面で車高計測をします。

BORDERでの車高調整(※4)は下廻りのアーム取付部分と床面で、車高の計測をします。よくフェンダーアーチでとっている場合がありますが、あくまでも目安としかならず、ボディーの構成部分で計測するのが本来の方法です。フェンダーなどはボディーに後で取付けするパーツですので、ミリ単位の計測には適さないはずです。フェンダーは取付方法によっては5mm程度は調整できますし、タイヤに干渉して曲がっている場合も多く見られます。

BORDERでは、修正作業以外に発生原因を伝えることも行なっています。

BORDERでは、修正作業以外に発生原因を伝えたりすることも作業の一貫として行なっています。調整作業後の試乗で真っすぐ走るのか、ブレーキングでの挙動は正常か、などを点検しています。(ブレーキを踏んだら、右か左に曲がってしまう場合など) これらの他にも車高設定が悪くスタビライザーが直進走行時にも作用している車輌や、前輪と後輪の向きが車輌中心から大きくずれている場合などもあり、オーナーは正常な状態が把握できていない場合も多く見られます。

※1 キャンバー…
タイヤと地面の角度のことです。タイヤ上部が車輌側に倒れている場合が「キャンバーがついている」と言っている(専門用語ではネガティブキャンバーといいます)状態です。通常は1〜2°位です。フロント/リア。
※2 トーイン…
車輌を上部から見た時のフロント/リア、それぞれのタイヤの前進方向への角度をいいます。通常は内側に向かいます。(イン1〜5mm位)。車高が下がるとアウト方向へ広がります。
※3 ブッシュ…
車のサスペンションの動く部分には殆ど、この「ブッシュ」と呼ばれるゴムのジョイントが使われています。強化タイプやピロボールタイプなどが、補修用として売られています。
※4 車高調整…
一般的に略して「シャコチョー」といっています。バネの下側の皿がネジ式で上下に調整できるため、サスペンション取付後にも車高の上げ下げができます。